大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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       「学士課程教育」と「看護現場での現任教育」のシームレスな接続

日本赤十字九州国際看護大学
   「学士課程教育」と「看護現場での現任教育」のシームレスな接続

テーマⅤ「卒業時における質保証の取組の強化」

事業期間:2016年度~2019年度

【取組の概要】

 本取組では、生涯学び続け、成長し続ける看護人材を育成するために、学士課程教育と就職先での現任教育とをシームレスに接続する「看護職キャリアパス基礎スケール」と「ディプロマ・サプリメント(学位証明書補足資料)」を開発する。これにより、卒業時の学修成果を社会から評価することを可能にし、適切な現任教育に繋げることができ、看護基礎教育からエキスパートナース育成までの一貫した教育システムの確立に貢献する。また、FD研修の充実によるアクティブ・ラーニングの促進と、多元的評価を用いた学修成果のアセスメントの実施にも取り組む。これらを通して、カリキュラムのPDCAサイクルを機能させ、3つのポリシーに基づく体系的で組織的な教育活動の展開とカリキュラム・マネジメントシステムの確立により、総合的な教育改革の取組を加速させる。

【取組のポイント】

➢『看護職キャリアパス基礎スケール』の開発
➢ディプロマ・サプリメント(学位証明書補足資料)の作成
➢アクティブ・ラーニングの促進
➢アセスメントを実行可能にする評価システムの整備
➢卒業生追跡調査を実施し、カリキュラム評価へ活用

【キーワード】
「看護職キャリアパス基礎スケール」、「ディプロマ・サプリメント(DS)」、「アクティブ・ラーニング」

【人材育成目標】

本学は、赤十字の基本原則の一つである人道に基づき、個人の尊厳を尊重する豊かな人間性を培い、広い知識と深い専門の学芸を授けることを教育理念としており、国内外で活躍できる実践力をもった看護専門職の育成をめざしている。
卒業時までに身に付ける能力として、 『人間の尊厳と権利を擁護する力』 『自己教育力』『チームで働く力』『問題解決力』『看護の専門性を探究する力』の5つの力を挙げ、ディプロマ・ポリシー(以下DP)としてそれぞれに到達目標を定めている。これらの能力は、卒業後、看護専門職として働く上でも重要な力である。
そこで本取組で、生涯学び続け、成長し続ける看護人材を育成するために、学生の学修成果を可視化し、それを就職先と共有することで、「学士課程教育」と「看護現場での現任教育」の接続を試みる。

【教育上の課題】

 本学のこれまでの課題は以下の3つに集約される。
1.カリキュラム・マネジメントの確立のため、既存の指標に加え、多元的評価を実施するための評価指標の不足
2.学生に能動的・主体的な学修を促すアクティブ・ラーニングの重要性は教員間で理解されているが、促進のための具体策が不足
3.学修成果の可視化やアセスメント評価の仕組みが未確立

【これまでの取組、実績・成果】

<取組>
1.多元的評価を行うための評価指標として、DPのルーブリック作成、就職先と協働で「看護職キャリアパス基礎スケール」の開発、外部評価テストとしてのPROGの活用を進めている。
2.学修成果の可視化をディプロマ・サプリメント(以下DS)として発行可能にできるよう、データの蓄積を行う。 DSのためのデータは、①教員による成績評価、②DPルーブリック評価(1回/年)、③授業科目毎の到達目標に対する学生の達成度自己評価 ④学修e-ポートフォリオ「夢・目標」、⑤PROGテスト(1・3年次測定)、⑥看護職キャリアパス基礎スケールの結果等である。
3.アクティブ・ラーニング促進のためのFD/SD研修会、アクティブ・ラーニング実施率の調査および、これを活かした学内「Good アクティブ・ラーニング賞」の仕組みづくりを行う。

<実績・成果>
・システム(ポータル)の整備により、成績評価と学生の自己評価等、多元的評価による情報が同一システム上で確認可能となった。
・看護職キャリアパス基礎スケールは、学生および看護職双方で測定できる22項目4因子「長期的に自己を見つめる力」「他者との関係の中で自己を表現する力」「課題遂行のモニタリング力」「オープンな相互支援関係を築く力」として作成した。
・アクティブラーニング実施率や研修参加率は向上し、授業改善を組織的取組とする基盤整備となった。 

【今後の取組の計画】

 DSの蓄積データは、科目毎の到達目標に対する学生の到達度自己評価や、DPルーブリック、学修e-ポートフォリオ「夢・目標」などについて、学生の確実な入力とそれに基づく教員の活用が必須となる。教員や学生への周知は行ってきたが、実際に活用してその効果を実感してもらうことが大事である。従って、DSを在学時に随時閲覧でき、印刷できるようにする。つまり、学修支援ツールとして活用し、学生・教員から意見を聞いて課題を抽出し、浸透・改善を図る。
 アクティブ・ラーニング促進を組織的に取り組むには、教員間での効果的な授業の共有の仕組みが必要である。教員は、授業科目毎の授業形態や授業の改善を記載した自己評価表を提出しており、この記載内容と学生からの授業評価を元に「Good アクティブ・ラーニング賞」を選定する。受賞した授業は、次年度に公開授業を行い、教員間での情報共有の場としながら、授業改善の仕組みとする。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●専門職(看護職)育成の観点から、学士課程と現任教育の接続を意識した「ディプロマ・サプリメント(DS)」を作成し、就職先に提供できる。
●多元的評価を用いた学修成果の可視化は、学生の目標管理や意欲向上を目的とするが、科目毎の教育評価にも活用できカリキュラムマネジメントに有効なデータとなる。
●在学中の学生のDSを教員と学生の共通ツールとして活用することで、学生支援ツールとなる。

【本取組の質を保証する仕組み】

 本学はこれまでカリキュラム・マネジメントの基盤づくりを行ってきたが、アセスメントポリシーに基づく評価が実現できるPDCAサイクルを機能させる必要性があり、本事業を進めている。現在、以下の4つのサイクルを機能させ、教育の質保証に取り組んでいる。
 第1に、科目毎の教育評価サイクルとしては、科目担当教員が、「シラバス作成」→「授業の実施」→「科目の自己評価表を記載」→「改善点を次年度シラバスへ活かす」サイクルとなっている。科目毎の評価は、これまで成績評価と学生からの授業評価アンケート等を踏まえていたが、本事業により「科目毎の到達目標に対する学生の達成度自己評価」のデータが入手可能となり、到達目標の達成度を把握し、目標の妥当性なども含めて授業設計の改善につなげられる。
 第2に、教員間の教育評価サイクルとしては、先述した「科目の自己評価表」を基に、授業設計の知見を学内で共有する仕組みである。
 具体的には、アクティブ・ラーニング実施状況(授業形態や具体的工夫)を各教員が 「自己評価表」に記載し、AP委員が策定した選定基準により「Good アクティブ・ラーニング賞」を選出する。受賞科目は、次年度に公開授業の機会を設け、授業改善や授業設計等を学内で共有する仕組みである。現在、選定の試行に入る状況である。
 第3に、「学修成果の可視化」のDS情報を在学時から活用し、学生と教員が共有できる「学修支援ツール」として機能させる。
 第4に、これまで学内に留まっていた教育評価を、就職先や卒業生等外部評価を加えたカリキュラム評価として実現する。卒業生調査は開始しているが、「看護職キャリアパス基礎スケール」の活用やDSの提供による就職先からの意見等は今後の計画となる。

【概要】

具体的な実施計画における指標 2016年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
学生の授業外学修時間 (1週間当たり) 10.0時間 7.97時間 16.0時間
事業計画に参画する教員の割合 50.0% 66.0% 65.0%
進路決定の割合 ([就職決定者数+進学者数]/卒業者数) 100% 100% 100%
質保証に関するFD・SDの参加率 80.0% 93.6% 85.0%
「大学教育に満足している」学生の割合 70.0% 93.9% 85.0%
学修ポートフォリオの利用率 80.0% 54.5% 95.0%
学修到達度調査の実施率 50.0% 47.2% 80.0%