大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

APの基本的情報

お茶の水女子大学
     新フンボルト入試

テーマⅢ「入試改革」

事業期間:2014年度~2019年度

【取組の概要】

 お茶の水女子大学の特別入試、とくに現在のAO入試を抜本的に改革し、多面的・総合的に志願者の意欲、適性、能力、基礎学力を見極める入試方法(「新フンボルト入試」と称する)を導入することを目的とする。募集定員を従来より倍増させ、全学で20人規模とし、丁寧で手間をかけた本学独自の新型AO入試を実施する。高大接続の要素をもつプレゼミナールおよびユニークで丁寧な二次選考(図書館入試、実験室入試)を通じて、基礎学力を担保しつつ受験生のもつ潜在力(ポテンシャル)を見極める。大学入学時に知的ピークを迎える学生ではなく、入学後の学修のなかで能力を大きく伸ばし、大学院に進学し社会に出てからさらにリーダーとして飛躍しうるような「伸びしろ」のある学生を選抜する。本事業を本学の入試改革の第一歩と位置づけ、入試制度全体への改革へと広げると同時に、本学の特色ある教育システムと連動させて学士課程教育改革を加速させる。

【取組のポイント】

➢プレゼミナールの実施。授業を直に体験してもらうことで、大学という学問世界を体感してもらう機会とし、高大接続の試みとして実施する。
➢図書館入試と実験室入試の実施。本人の到達した結論だけでなく、思考のプロセスも重視して、本人の有する総合的能力(ポテンシャル)を測定する。
➢丁寧な入学前教育の実施。上級生をチューターとして配置し、高校教育と連携しながら入学後に資する基礎学力を涵養する。

【キーワード】
「新型AO入試」、「プレゼミナール」、「図書館入試」、「実験室入試」

【人材育成目標】

 AO入試の全面的改革を実施し、入学時に知的なピークを迎えてしまう学生ではなく、入学後の学びのなかで大きくその意欲と能力を伸ばし、さらには大学院へ進学し、また社会に出てからいっそうの飛躍を見せるような、「伸びしろ」(ポテンシャル)のある学生を選抜しうるような新しい入学者選抜方法を確立する。

【教育上の課題】

 大学教育への社会的要請は、深い専門性に加えて問題発見・課題解決能力に優れジェネリックな能力を備えた人材養成へとシフトしている。こうした社会的要請にこたえるためには、入学後の教育体制を練磨することだけでなく、入学者選抜段階で「尖った」資質を持つ優秀な人材を確保する必要がある。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組1> 「プレゼミナール」
本試験に先立ち、第一次選考を兼ねて、プレゼミナールを実施する。受験生にはプレゼミナール受講とレポート作成を必須とし、これを第一次選考の判定材料とする。受動的に講義を受けるだけでなく、自ら深く考える場を提供する。さらに「大学という学問世界」を実体験することで将来への明確なヴィジョン、本学への強い志望、そして知的な興味を持ってもらう。すなわちプレゼミナールが入学者選抜方法であることを越えて、参加者にとって今後の勉学に有益な体験の場(教育の機会)となることを企図している。また、AO入試を受験しない高校2、3年生の参加も自由とし、高校教育への波及効果をねらい、新しい高大接続の試み(祖型)としても機能させている。
<取組2> 「図書館入試/実験室入試」
 文系志望者は、「図書館入試」に挑む。本学附属図書館を舞台に所蔵文献を自由に活用しつつレポートを長時間かけて書き上げる。2日目はグループ討論と個別面接を課す。
 理系志望者は、各学科の学問の特性に応じて、学科毎に課題を設定した「実験室入試」を受験する。大学での研究を進めていくうえでの資質(課題発見力、探究力等)が備わっているかどうかを学科独自の工夫した課題を通して判定する入試であり、一部の学科では高校での自主課題研究のポスター発表を選考の中核に据えている。
 受験生には、この入試に挑むことで、今後に活きる何かを学び取り持ち帰ってもらう入試、合否にかかわらず受験生自身の今後の学習に意味を持つような入試を目指す。
<取組3> 「丁寧な入学前教育と追跡調査の実施」
 合格発表後に合格者に対する研修会を実施し、入学までの約半年を有意義に過ごせるように指導している。合格者全員に上級生をチューターとして配置し、手厚いケアを行える体制を敷いている。具体的には推薦図書の提示や、e-learningのシステムを利用した英語自主学習環境の提供により、入学までの基礎学力涵養と専門領域への志望動機の深化を図る。また、大学入学後の合格者の学修状況を恒常的に質・量の両面から分析・評価していくシステムを構築し、もって本AO入試の成果を検証する。

【今後の取組の計画】

 本取組は、これまでに例のない新しいAO入試の仕組みを創出することに第一の主眼があった。この点においては、新フンボルト入試を2018年度まで3回にわたってつつがなく実施し、しかも受験生を高い水準で確保できたこと(受験倍率は3年連続で9~10倍)、また、志願者とほぼ同数の非AO受験者(高校2年生が主)が、プレゼミナールを受講していることを併せ考えれば、本学のAO入試改革の試みがある程度高校生にアピールし、魅力的に映っていることを示している。
 今後はこの新型AO入試の制度的な定着とさらなる改善を図ることが目標となる。直近の課題としては、AP事業経費が終了した後も、継続して新フンボルト入試を実施していく方途を早急に確立することであり、具体的な措置を取りつつある。可能な範囲での効率化、省力化を図りつつ、制度の理念を維持していくことが重要である。すでに必要な人員の確保、本学自体の経費での維持継続の検討を確実に進めている。
 また、この新入試で合格した学生に対する細やかな追跡調査、ヒヤリングを実施し、その学修過程、成績等を分析することで、本事業のもつ意義・成果を明確なエビデンスをもって示していく。
 一方、これまでも可能な限り実施してきた高校側からの意見聴取も引き続き実施し、制度のブラッシュアップを図る。また、プレゼミナール全受講者及び図書館入試受験者への悉皆的なアンケート調査を継続して実施し、ステークホルダーの意見を敏感に制度改善に活用していく。このアンケートでは、プレゼミナールのセミナーが「面白かった」「今後の学修に役立つ」という回答が圧倒的多数を占めている。この満足度を今後も維持していくことがもっとも重要である。
 さらに事業最終年度にあたる2019年度には、本事業の成果を社会に公表するさまざまな取組を展開し、成果発表のためのシンポジウムを企画する。他方で、新フンボルト入試で得られた成果を推薦入試等の特別入試、あるいは一般入試へと応用し、本学入試制度のさらなる改善を進めていく。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●新しい学力の3要素に応じた魅力ある新型AO入試の構築
●大学の学びを直接体験できるプレゼミナールの実施
●課題探究力など社会で必要とされる資質豊かな学生の選抜(高校、他大学、マスコミからの大きな関心→新しい入試・高大接続のあり方(モデルケース)を社会に向けて提言)

【本取組の質を保証する仕組み】

 外部評価委員会を活用し、高校教育の現場に長く携わってきた委員や大学入学者選抜に深い知見を有する委員からの忌憚のない多角的な意見を聴取し、これらを新型AO入試の設計及び改善に積極的に活用している。またプレゼミナールを毎年じかに視察してもらっている。
 また、高校への訪問調査を継続する一方、今後もプレゼミナール及び図書館入試において悉皆的なアンケートを実施し、その結果を具体的な制度改善に柔軟に活かしていく。
 そのほか、学内の研究機関であるグローバルリーダーシップ研究所の協力を得て、AO受験生を集めての懇談会を実施するなど、AO合格者の成長を見守っていく仕組みの開発・定着を進めている。またAO合格者にはセンター試験の受験を義務づけており、この成績を一般入試の入学者集団と比較するなどの分析・評価を実施している。

【概要】

具体的な実施計画における指標 2014年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
多様な評価尺度による入学者選抜を経た募集人員 10 20 20
選抜方法の検討に従事する教員数 7 10 10
選抜実施に従事する教員数 10 77 77
合否判定に従事する教員数 173 18 18
入試方法評価・分析に従事する教員数 8 11 11