大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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       学修の過程の振り返りを支援する達成度評価の確立と可視化

八戸工業大学
   学修の過程の振り返りを支援する達成度評価の確立と可視化

テーマⅡ「学修成果の可視化」

事業期間:2014年度~2019年度

【取組の概要】

 本学では、学生が「何を学び、身に付けることができるのか」を明確化するために、ディプロマ・ポリシーの属性として、学生が修得すべき知識・能力・態度等を20個(表参照)抽出、修得因子と定義し、学期末に学生が修得因子の主観的達成度を自己評価することで、学修成果を実感する経験を積み重ねている。学生の成績履歴から達成度を分析する手法を確立し、達成度を個々の学生に還元し、4年生に対しては、ディプロマ・サプリメントを発行するに到っている。本学の学修成果の可視化は、7つの可視化(①学修支援の可視化、②成績評価の可視化、③教育課程の可視化、④学修取組の可視化、⑤達成度評価の可視化、⑥教育実践の可視化、⑦教員業績の可視化)によって具体化している。学生、教員の自己省察を促したり、教職員の組織学習を支えるために4つのポートフォリオを構築、取組記録を集積している。

【取組のポイント】

➢修得因子の定義によって、修得因子ごとのカリキュラム・ツリーを作成、教育課程を授業に結び付けて可視化した。修得因子は、生きる力、学士力、社会人基礎力、JABEE共通基準などを網羅するように定義した。汎用性の高い用語で記述したため共通的理解が得やすく、学生の主観的達成度の自己評価、企業の卒業生達成度の評価はスムーズに実行することができた。なお、本稿では、大学における「学び」の中でプログラム化レベルの高い「学び」には「学修」、低い「学び」には「学習」という文字を意識的に使用している。
➢修得因子に関し企業が捉えている社会接続重視度を分析、地域のニーズを意識した学修および教育の在り方を把握している。
➢学生と教員の2重のPDCAサイクルを稼働させるためのポートフォリオ、および教職員組織学習のためのポートフォリオを構築した。

【キーワード】
「修得因子」、「主観的達成度評価」、「達成度評価」、「7つの可視化」、「4つのポートフォリオ」

【人材育成目標】

 本学では、学生の学修の過程は、学生と教職員とのチームワークによって支えている。自己の学修過程を導くことのできる学生の育成、継続的学習者の規範となる教職員の育成を意識している。人材育成の振り返りポイントとして、以下4つのポートフォリオを構築、活用している。
A) ラーニング・ポートフォリオⅠ(LPⅠ:学生の学修取組記録)
B) ティーチング・ポートフォリオ(TP:教員の教育実践記録)
C) アカデミック・ポートフォリオ(TPとJPP(職務業績ポートフォリオ)から成る教員業績記録)
D) ラーニング・ポートフォリオⅡ(LPⅡ:学習する組織の記録)
上記チームワークが達成目標としている八戸工業大学のディプロマ・ポリシーを以下に示す。
○  豊かな人間性と総合的判断力
○  専門分野の基礎原理の理解と高度応用展開力
○  社会の変化に対応できる柔軟な思考力
○  地域社会への関心をもちグローバルな視野で物事を考える姿勢
2015年度に本事業では、ディプロマ・ポリシーの属性を検討し、学生が卒業までに具体的に身に付けるべき知識・能力・態度等を 20個の汎用性の高いベンチマークで表現し修得因子と定義した。修得因子が身に付いたことを実感している学生の育成を念頭に置き本学の教育改善が進められている。

【教育上の課題】

 教育上の課題としての本補助事業目的を以下に示す。
■ 高大接続改革の推進
■ 自主的学習活動の推進
■ 学びの過程における達成度評価システムの確立
■ キャリア教育の徹底による良き職業人の育成
■ 高大接続改革における質保証の推進

【これまでの取組、実績・成果】

■2014年度
 AP事業開始前より、満足度調査、意識調査(学修行動調査)、授業評価(授業満足度調査)、シラバス更新は年次事業化し、学修支援、教育実践、教育課程の可視化を行っていた。シラバス上で全科目が成績評価を概要記述し、一部科目ではルーブリック評価を行っていた。学修取組の可視化を行うためにLPⅠを設備化し、7つの可視化の中で達成度評価(学修到達度調査)、教育実践、教員業績の可視化以外は着手状態となった。
■2015年度
 AP事業推進室ホームページ(https://www.hi-tech.ac.jp/ap/)を開設した。修得因子を定義し、達成度評価アンケートを新設し、学生全員が学修の過程を振り返り、達成度を自己評価(主観的達成度)し、授業外学修時間を記録した。集計結果より教育改善目標を抽出し、最初のPDCAサイクルを一巡した。初年次学生は、学修の過程を振り返り、LPⅠに学修記録を集積し始めた。自主的学習活動の推進をすべく、LPⅠ利用を進め、1年生の84.4%が利用者となった。高大接続改革の推進という観点から入学前学生の学修量を増やすべく、インターネット入学前交流講座を開設した。
■2016年度
 修得因子ごとにカリキュラム・ツリーを作成、授業と修得因子の関連表を作成、成績履歴から達成度を計算する手法開発に着手した。全学平均値は計算可能となった。AP「高大接続改革推進事業」の始動を受け、アクティブ・ラーニング科目、e-ラーニング活用科目の学修成果の可視化を行った。グループディスカッション教育機器、理解度測定器を設備化し双方向性の授業を増強した。1年生の96.2%、2年生の95.1%が LPⅠ利用者となった。八戸工業大学e-ラーニング総合サイトを設置、在学生、高校生の自主的学びの支援を強化した。
■2017年度
 2014年度から2017年度前期までの事業成果をまとめて中間報告書を作成、本学AP事業の中間報告会を東京にて開催した。達成度評価の計算手法を継続して改良し、成績履歴から学生個人の修得因子達成度を計算することが可能となった。

【今後の取組の計画】

 学修成果の可視化に関わるシステムが作動し始めている現時点での取組課題は、改善成果の可視化である。
■学修取組改善成果の可視化
 LPⅠに学修改善記録を集積する活動をより充実化するためのメカニズムを検討する。
■教育実践改善成果の可視化
 TPを進化させ、教育改善への動機付けを加筆する。
■事業指標改善成果の可視化
 退学率は改善を重ね、2014年度実績値に到達したが、本事業開始時にさらに高い目標を設定した。難度の高い目標であるが改善策の策定は教育力向上の源泉と考える。授業外学修時間21時間を目標としている。一部のクラスでは目標達成済みであり、先行取組を規範とすれば改善成果可視化は可能と考える。アクティブ・ラーニング科目、 e-ラーニング活用科目は正課教育の授業外学修時間が高いことを報告している。当該授業を増やすことは授業外学修時間を向上させるための鍵と考えている。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●本取組の成果は、学術誌上に査読付き論文として掲載、「教育学」という学術体系化に寄与し、全国の図書館、電子媒体を通じ社会貢献すべく努めている。日本工学教育協会に査読付き論文2件、年次大会等口頭発表論文16件、他の教育機関誌に事例報告論文2件が掲載済み(印刷中を含む)である。
●2017年11月、東京にて単一校で午前・午後を通した中間報告会を開催、全国より44校、85名の教職員、官職員、産業界職員が集い、本事業の先駆的取組成果を共有化いただき、波及効果が示唆される出口調査結果を得ている。

【本取組の質を保証する仕組み】

■社会接続に関わる質保証
 卒業生就業企業に対し、採用後の卒業生の修得因子の卒業生達成度を獲得している。卒業時学生の主観的達成度は卒業生達成度と比較し信頼度の高い値であることが確認されている。年度末に外部有識者から構成される教育研究後援会を開催、質保証に関わる外部意見聴取に努めている。
■高大接続に関わる質保証
 入学前に身に付けた「生きる力」主観的達成度を入学時に測定、修得因子の達成度評価と相関させ、入学前の素養を把握している。
■ディプロマ・サプリメントの発行
 本年度末に学生が身に付けた修得因子の達成度を証明するディプロマ・サプリメントを発行することとなった。

【概要】

具体的な実施計画における指標 2014年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
退学率 4.3% 4.4% 1%
プレースメントテスト実施率 98.6% 100% 100%
授業満足度アンケートを実施している学生の割合 73.3% 77.0% 95%
授業満足度アンケートにおける授業満足率 68.9% 74.3% 85%
学修行動調査の実施率 79.7% 89.5% 100%
学修到達度調査の実施率 11.3% 85.0% 90.0%
学生の授業外学修時間 9.4時間 18.3時間 21時間
学生の主な就職先への調査
学生1人当たりのアクティブ・ラーニング科目に関する授業外学修時間 1.58時間 1.7時間
学生の成績評価[GPA] 2.39 2.39 2.40