大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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徳山大学 ALヒエラルキーとBAL( Barometer of Active Learning )を活用した全学的ALの推進

テーマⅠ「アクティブ・ラーニング」

事業期間:2014年度~2019年度

【取組の概要】

 徳山大学は、2013年度より「地域課題」をテーマとするPBL(課題解決型学修)「地域ゼミ」を導入し、学生に主体的な学びの場を提供する教育改革に取り組んできた。これを成功させ真の「教育の質の転換」へ結び付けていくには、PBL型授業の導入・推進に留まらず一般講義におけるアクティブ・ラーニング(AL)教育全般の底上げを含む、全学的な授業改革が必要となる。そこで本取組では、① 全学的AL推進のための組織基盤の整備、② 「ALをどう捉えるか」という原点に戻り、一般授業におけるAL導入の進捗状況・教育効果を定量的把握・検証するシステムの構築、及び、それを活用したAL促進、③ PBLを4年間の継続的な学びとするカリキュラム体系の整備、④ AL推進のための教職員育成(FD・SD)、⑤ 各種の新しいAL手法の導入促進、の5本を軸とした教育改革を目指してきた。

【取組のポイント】

① 徳山大学AL研究所(TUAL;所長は学長)の設置、ALプロデューサー2名の雇用。AL推進委員会を設置し、全学的なAL推進の体制整備
② 「徳山大学ALヒエラルキー」、及びそれを基軸としALの進捗度・効果を可視化する指標「BAL(Barometer of Active Learning)」の導入
③ 4年間を通してPBLを継続的に体験するカリキュラム体系: (1) 教養ゼミ(1年次必修)でのPBLリテラシー、(2)「地域ゼミ」(2年次)の全学必修化、及び「課題対応力」を評価する「コモンルーブリック」の開発と活用、(3) 専門ゼミ(3・4年次)における地域課題解決型PBLの導入促進
④ AL手法の研究開発と共有化(FD・SD)、AL推進に向けた教職員意識の醸成
⑤ 循環型人材教育(ピアサポート制活用)、本学固有のキャリア形成支援学生カルテCASK2.0 を活用した反転授業やPBIの促進

【キーワード】
「全学的なALの推進」、「ALヒエラルキー」、「BAL」、「地域ゼミ」、「課題対応力評価コモン・ルーブリック」、「循環型人材教育」

【人材育成目標】

• 主体的に学ぶ姿勢をもち、ALヒエラルキーに示す「学び」の進化を実践していくことのできる人材
• 地域課題をテーマとする豊富なAL体験を持ち、地域活性化に寄与することのできる人材(COC機能の強化)
• AL体験を「生涯学び続ける力」として結実させ、職場や地域、それぞれの場において問題の発見と解決に寄与できる人材:
 1. 職場においてQCサークル活動(商品やサービスの品質管理に自発的かつ日常的に取り組む活動)をリードし
  PDCAサイクルによる改善に積極的に取り組む人材
 2. 職場や地域での活動において、ピア学習・循環型教育の経験を活かし、後輩の指導に積極的に取り組む人材
 3. 生活者として、地域コミュニティ活動の推進役を担い、地域づくりや住環境の改善活性化に貢献する人材

【教育上の課題】

 「学生自らが能動的に学びを進めていく学修形態やそれらを誘導する教授法を総称する」ALには、様々な形態や手法が存在する。それら総てを対象に捉え、その導入度と教育効果の検証をおこなうためには、様々な形態のALを構造的に整理しておく必要がある。またそれを教員間で共有しつつ授業改善に役立てていくためのシステム作りも重要な課題となる。その解答として導入し構築したのが「ALヒエラルの・キー」の概念と、それに基づき各授業のAL 度を評価するBAL(Barometer of AL)システムである(【取組のポイント】の②)。
 一方、本取組のもう一つの重要な取組となるPBLの全学的推進(【取組のポイント】の③)では、地域課題解決に向けた一連の活動プロセスにおいて、学生に獲得してほしい能力を整理して評価基準を設定し(課題対応力のコモン・ルーブリック)、教員と学生がそれをしっかり認識しつつ、活動を進めていく必要がある。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組>
 「学生が何をできるようになるか」を基準として「学び」の進捗度を階層化する「ALヒエラルキー」を導入(図1)。また、これに基づき授業のAL度を評価するBALシステムを考案し、CASK2.0 上に構築した。これは、各授業におけるAL導入の進捗度と教育効果を㋐教員の自己評価、㋑学生目線での評価、㋒学生自身のAL参画度の3つの観点から測定・可視化し、授業改善に活用するものである。
 PBLを4年間の継続的な学びとするため、「教養ゼミ」(初年次必修)において「PBLリテラシー」教育を標準化、2年次の「地域ゼミ」を全学必修化(2017年度より)し、専門知識を活用した本格的PBL「専門ゼミⅠ・Ⅱ」(3・4年次)に繋げる体制を整えた。また、地域ゼミ等のPBL科目における課題対応力評価基準として、現状理解(①情報選択②現状把握)、課題発見(③本質理解④課題評価)、課題解決(⑤行動計画⑥調査分析)、結論導出(⑦結論導出⑧プレゼン)の8評価軸からなるルーブリックを作成。評価は、BAL値同様CASK2 0上でオンライン実施でき、学生は結果のレーダーチャートを見て、自分の課題対応力を把握しつつ学修を進めていくことができるように設計した(図2)。

<実績・成果>
• BAL値の活用が進み(BAL値㋐はシラバスに掲載)、教員の授業改善と学生の授業選択の参考にできる環境が整い、全授業のBAL平均値やAL導入授業の割合が増加
• 地域ゼミ必修化により全学生がPBL型授業を受講可能になった(必修AL科目の増加)
• 教職科目における循環型人材教育の実施、課題解決型インターンシップ(PBI)受講生の増加

【今後の取組の計画】

事業実施体制:今後(補助期間終了後を含む)もTUALとAL推進委員会を中心に、全学が協力して授業改革を進めていく。
一般講義を含む全授業におけるAL促進:整備した「BAL値測定システム」について、その改良を進めると共に、測定・収集した数値の活用を本格化する。ゼミ・講義などの授業タイプや学生の属性と関連付け、教育効果との相関の可視化をめざす。
PBLを4年間の継続的な学びとするカリキュラム改革:「地域ゼミ」の内容的な充実を図ると共に、「専門ゼミⅠ・Ⅱ」( 3・4年次)における地域課題活用を推進する。2019年度より一部の専門ゼミにおいて地元企業等と連携して地域課題解決に取り組むPBL型の卒業研究を実施する予定になっている。
その他:2016年度より新たな課題に据えられた「高大接続改革」を推進すべく、今後もALをテーマとする高大接続ワークショップの実施を継続する。特に、外部評価委員会に参画いただいている域内高等学校教員の方々(2017年度より増員)の協力を仰ぎつつ、そのニーズに合わせたセミナーを開催していく。ALを中心テーマとし「大学の学び」を高校生に伝えるWEBサイトや入学前教育システムの構築も、実施する予定である。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

・ALヒエラルキーに基づく「BAL」評価システムや、それを活用した全学的な授業改善の試みは他に類例が無い。また、コモン・ルーブリックによる課題対応力評価システムと共に、総てコンピュータシステム化され、活用しやすい状況が実現されている。その点、他学にも十分参考になり、普及が期待できる。
• 地域ゼミの必修化を通じて、大学教育への企業・自治体・団体・住民の協力体制が構築された。地域ぐるみで大学の教育改革に取り組む環境ができた点は大きな成果であり、社会に与えたインパクトも大きい。

【本取組の質を保証する仕組み】

 本事業の取組やその成果は総て、学内外の論文誌をはじめ、各種のセミナー・学会等で報告されている。また、同じテーマ(AL)や他のテーマ(学修成果の可視化、複合型)においてAP事業に採択された他大学との共同ワークショップ開催や、発表・議論参加を積極的に進めてきた。そこで得られた意見・感想・評価・質問はAL推進委員会にフィードバックされ、取組改善のPDCAに役立てられている。また、AL専門家、地域経済人、域内高等学校教員からなる外部評価委員会を設置、毎年、AL勉強会や地域ゼミ合同発表会等と同時期に委員会を開催し、本事業の取組に関して様々な立場から多角的な評価・助言を受け、取組改善に努めている。

【概要】

具体的な実施計画における指標 2014年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
ALを導入した授業科目数の割合 75.5% 88.4% 95.0%
AL科目のうち、必修科目数の割合 23.0% 29.4% 25.0%
ALを受講する学生の割合 82.5% 100.0% 100.0%
学生1人当たりAL科目受講数 11.7科目 11.4科目 22.0科目
ALを行う専任教員の割合 95.3% 77.8% 100.0%
学生1人当たりのAL科目に関する授業外学修時間(1週間当たり) 5.0時間 12.4時間 20.0時間
AL導入度測定値(BAL)の全授業平均値 3.1 3.2
高次ALを導入した授業科目の割合 18.1% 49.6% 30.0%
PBI実習先数 3社 7社 12社
ALに関する学内セミナーの実施回数 1回 3回 4回
ALに関する学内セミナーへの教員参加率 27.7% 55.1% 84.4%
教員のAL関連の教育貢献型研究(論文数) 5件 13件 6件